「そのうち…」では閉院しか選択肢はありません!

経営VOL.196

先日、クライアントであるT院長から『長年、受付を支えてくれていた優秀なスタッフが退職しました。理由を聞くと、“当院に不満はなく、むしろ感謝しかないが、自分は現在40歳であり、これからも家族を支えないといけないため、高齢の院長があと何年診療されるか不透明で、もし、医院を閉じるとなった場合、自身の年齢によっては今と同等の条件で働ける保証も自信もなく今のうちに、若い先生がされている医院に転職しようと考えたから”ということでした。自分としては元気なうちは診療するつもりですが、確かに、それが10年、20年と続く訳ではありませんので、若いスタッフからすれば不安でしかないですよね。今後、他のスタッフに残ってもらうにしても、どうすれば良いでしょうか?』というご相談を頂きました。 

T院長も古希を迎え、承継者を探し始めてはいたのですが、ご自身がまだまだ元気なのもあり、余り本格的に動いてはおらず、もし、承継者が見つからなければ閉院でも仕方ないか…、と気軽に考えておられましたが、今回の件で、このままではスタッフがいなくなり診療自体が出来なくなる可能性が現実味を帯びてきたため、今回の相談に至ったそうです。

周知の通り、開業医の平均年齢は60歳を超えており、弊社にも医院の今後についてのご相談が年々増えておりますので、今回のT院長からのご相談をお受けし、弊社サービスでご支援した実例を、今号にてご紹介させて頂きます。

【まず、閉院するとどうなるか?をシミュレートしてみましょう】
このご時世を反映し、M&Aや事業承継の案内や広告がかまびすしい昨今ですが、このような「売却」や「譲渡」、「承継」以外にも、当然、「閉院」という選択肢があります。もし、M&Aも事業承継もできなければ閉院しかないのですが、そうなった場合、どのようになるのか、何か問題はないのかを具体的にシミュレートしておくことが重要です(↓)。

≪閉院した場合の想定事項と検討事項≫
① 収入が途絶える   → 借入、事業の整理費用、老後資金は大丈夫か
② スタッフの働く場所がなくなる   → 再就職先はあるか、退職金は必要か
③ 患者さんが困る   → 近隣に引継いでくれる医院はあるか
④ 日々の生活が変わる → 診療から離れた後、日々、何をして過ごすのか

シミュレートした結果、①資金的に問題なく、老後資金も潤沢で、②スタッフの身の振り方も何とかなりそうで、③患者さんも近隣に行くであろうと思われ(紹介先の目途もあり)、④これまで我慢してきた「やりたいこと」を、日々思い切りやりながら過ごしたい、という状況であれば閉院でも全く問題なく、あとは、先生がやりたいだけ診療すれば良いでしょう。しかし、このような先生は稀で、多くの場合、①借入や老後資金等の問題から、まだまだ働き続けないといけない、④仕事を辞めてもやることがない=どのような形であれ働き続けないといけない、また、③地域医療やスタッフの雇用を守るために閉じたくても閉じれない等の事情がある先生の方が圧倒的に多く、この場合、閉院という選択肢はありません。ちなみに、T院長も熟考した結果、経済的な理由で閉院という選択肢はなく、「継続」しかないということになり、そして、売却によってまとまったお金を受け取る勤務医として週に何枠かでも働かせてもらうという方針を打ち立てました。 

【閉院しないため、今からやっておくことは何でしょうか…?】
まず、今回のT院長には、残りのスタッフに今回の件を説明する中で、「自分の後は、誰かに必ずやってもらうつもりできちんと今から動くので閉院はない」ことを伝えてもらい、スタッフの皆さんに安心してもらうと同時に、『T院長が良くて通っている患者さんはどうするのか』という声に対しては、「次の経営者にお願いして、勤務医として出来る限り働く」と、こちらも安堵してもらうようなお話をして頂きました。

次に取り組んでもらったのは、T院長がそのつもりでも、承継は相手があってのことですので『当院は、承継したいと思ってもらえる医院なのか?』のチェックを行いました。ポイントは、①財務内容は健全か、②組織・スタッフは健全か、③稼ぐ力は十分か(マーケットや医院の集客力)という、承継側が必ず気にするこの3点で、これらがクリアであれば、相手側が当院を調べる手間も掛からず交渉もスムーズとなり、元院長がある程度残ることで③も担保されます。

よって、早速、弊社の「リバイバル・プラン(※)」というサービスを活用し、スタッフの協力のもと財務改善、組織改善に着手し、同時に、承継候補も本腰を入れて探し始めました。※    弊社HPhttps://www.amcp.biz/future/ をご覧下さい。

いかがでしょうか?今号では、今後のことを「そのうち」で放置せず、整理して前向きに取り組んだ結果、ピンチをチャンスに変えた実例をご紹介させて頂きました。同様のお悩みを抱えながら、迷っておられる先生は是非ともご相談下さい。

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