労務・人材活性化

2024年は4K(感度・見識・考察・行動)の年です!

経営VOL.177

昨年12月のAMCPレポートにて『2023年はジャネの法則を打ち破ろう!』と題し、毎年、今年も早かったと感じるのは年齢に反比例するためという学問的な話と、新鮮味のない日々を過ごすとそう感じるという心理的な話を紹介し、そうならないために2023年に「やりたいこと」を考え、仕事始めの日に先生自身の言葉で話して下さいとお伝えしました(参考までに、昨年分も欲しい先生はお申し出下さい)。
あれから1年経とうとしていますが、2023年はいかがでしたでしょうか。
先生方にとって充実した1年となりましたでしょうか。

ご存知の通り、来年は医療業界だけでも「働き方改革関連法案の適用」、「社会保険の適用範囲拡大」、「6年に一度のトリプル改訂」という大きなことから、現場対応が必要となるであろう「保険証の廃止」や「新紙幣発行」、「労働条件通知書の変更」等の小さなことまで、さまざまな変更が予定されております。また、再来年は「2025年問題」も迎えるので、今以上に人手不足となり、各業界の「時間外労働の上限規制」もあり、今まで当然のようにできていた経営ができなくなる可能性があります。加えて、世界情勢の日常への影響についても頭に入れておかなければ、急激な物価上昇やモノ不足への対応等に後手を踏んでしまうかも知れません。

従いまして、今までとは違い、来年以降は悠長な対応が致命傷になってしまいかねませんので、2023年が充実していた先生も、そうではなかった先生も、この年末年始は真剣に「考える時間」を確保して頂きたいため、今年最後の今号にて、その「考える時間」を有効に使って頂く「考えを整理する手法」をご紹介させて頂きたいと存じます。

【「クロスSWOT分析」に取り組んでみましょう!】
今回ご紹介させて頂くのは、過去にAMCPレポートでも取り上げた「SWOT分析」を活用した「クロスSWOT分析」という手法です。これは、SWOT分析で抽出した「活かすべき強み 」、「克服すべき弱み 」、「利用すべき機会 」、「取り除くべき脅威 」 という要因を掛け合わせて経営戦略を立てる手法で、これが完成すると自院で取り組むべきことがクリアとなります。また、この手法はスタッフ育成にも使えますので、是非、今号をご覧の機会に取り組んで頂ければ幸いです。

【難しく考えず、思い付くまま書き出すことから始めましょう】
まず、SWOTの抽出ですが、どのような些細なことでも結構です。
思い付くまま下記を参考に書き出しをして下さい。

* 強み(Strengths)=S

自院で出来ている点・評価されている点

* 弱み(Weaknesses)=W

自院で出来ていない点・改善が必要な点

* 機会(Opportunities)=O

⇒ 活用すれば業績に反映する外部環境の変化

* 取り除くべき脅威(Threats)=T

⇒ 放置すれば業績に影響する外部環境の変化

SとWは自院のことですので色々出ると思いますが、意外に先生が無意識の部分もありますので、お休みに入る前、スタッフや業者さんからヒアリングをしても良いでしょう。
OとTについては、どちらになるか考えながら書き出すと進まないので、まず思い付くまま書き出し、後に「この変化によって医院にどのような影響があるのか」を考え振り分けて下さい。
尚、「ニュースとしては知っているが、内容を知らない」ことは、理解をした上で振り分けることが重要です。正確な分析のためにも、この機会に各ニュースの理解を深めて下さい。

【抽出したSWOTを掛け合わせ4つの対策に絞り込む!】
次に、抽出したSWOTを下記のように4つに分類します。

 ① 強み(S)×機会(O)=SO戦略 (++)

     → 強みを活かして機会を利用するには?

  ② 強み(S)×脅威(T)=ST戦略   (+-)

     → 強みを活かして脅威を回避するには?

  ③ 弱み(W)×機会(O)=WO戦略  (-+)

     → 弱みを克服して機会を利用するには?

  ④ 弱み(W)×脅威(T)=WT戦略  (--)

     → 弱みを克服して脅威を回避するには?

つまり、クロスSWOT分析とは、自院のSWOTを知るだけでなく、それを踏まえ来年以降到来する色々な外部環境の変化にどう対応するかを整理して考える手法ということです。
そのためには、環境の変化に対する感度を上げ、見識を高めるとともに、その影響を考察し、そして行動を起こすという『4K』の実践2024年以降は必須となるのです。

紙面の関係上、概論となってしまいましたが、もし、取り組みたい先生でお手伝いが必要であれば、ご連絡下さい。本年もお世話になりました。皆さま良い年をお迎え下さい。

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