労務・人材活性化

新型コロナウイルス 第二波への備え

経営VOL.136

緊急事態宣言解除から1ヵ月以上が経過しましたが…、現在、首都圏では東京アラート解除後、感染者が増加し、関西でも感染者がほぼ毎日確認されています。また、全国各地で散発的ではありますがクラスターも発生しています。今のところ、人の往来に制限はありませんので、いつ全国的な流行の第二波(色々な意見があるとは存じますが、敢えて“第二波”と表現致します)が来るか分かりません。

従いまして、今のうちに出来る限りの「第二波への備え」 「第二波への備え」に取り組んでおくことは非常に重要ですので、実際の事例も交えながら、今号にてご紹介させて頂きます。

【防護具や消毒などのストック】
感染が国内に広まり出した折、マスク、グローブ、消毒薬等が手に入りにくくなったことは記憶に新しいのではないでしょうか。その教訓を活かし、診療に使う防護具や消毒薬・アルコール等は、ある程度ストックすることをお勧めしています。以前よりも供給体制は整い、手に入らないことはないと思いますが、新型コロナの感染拡大だけでなく、インフルエンザの流行で需要が増える時期が重なると、流通体制もどうなるかは分かりません。保管可能なスペースにもよるかと思いますが、最低でも約3ヶ月分は確保しておきたいところです。

感染対策のための防護具やマスク、消毒薬などがないと、スタッフはもちろんですが、来院される患者様にも安心して頂けません。多少、コストは掛かるかも知れませんが、補助金等も活用し、必要な物はストックしておくことが大切です。

【感染防止対策の継続】
緊急事態宣言解除以降でも、感染防止のために、下記のような対策を継続されている医院さんも多いかと存じます。

◇ マスク・ゴーグルやフェイスシールドの着用

◇ 受付にアクリル板や防護シートの設置

◇ 患者様にマスク着用、手指消毒のお願い

◇ スタッフ・患者様の検温

◇ 扉や窓を開放、定期的な院内の消毒

◇ ソーシャルディスタンスの確保(座席間隔を空ける等)

これらは第二波への備えというよりも、既に感染予防対策として定着しつつあることだと思います。これらを徹底することで患者様に安心感を持ってもらうことが出来ますし、万一、患者様に感染者がいたとしても対策をきっちりとしていれば濃厚接触にはならず医院休業のリスク回避になります。

【診療体制の見直し:実例のご紹介】 
クライアントであるAクリニック(内科)さんは、新型コロナの影響で、患者数が減少し売上が落ち込みました(3割減)。7月現在、緊急事態宣言中に比べ、患者数は戻りつつありますが、迷いながら来院されている患者様の姿を見て、やはり、積極的に安心・安全をアピールしないと、本当に安 積極的に安心・安全をアピールしないと、本当に安心して患者様は通院出来ないと院長先生は考え、『出来る限りのことはやってみる』という方針で動き始めました。

まずは、感染予防対策を徹底していることをホームページ 感染予防対策を徹底していることをホームページでアピールし、重ねて院内掲示にも力を入れました。感染の第二波が来たとしても、クリニックでは感染の可能性が極めて低いことを理解して頂きたいという内容です。

次に、季節性のインフルエンザの患者様が増えること見越して、発熱症状のある患者さんも診る 発熱症状のある患者さんも診ることにしました。但し、建物の都合上、ゾーニングが完璧には出来ないことから事前に連絡を入れてもらい、医院の外で診ることを前提にしました。

これにはスタッフさんがかなり難色を示しましたが、基本的に院長が対応することで合意してくれました。

その他、患者様との接触を減らすため、思い切って自動精算機の導入にも踏み切りたかったのですが、予算の都合で現在は保留とし、その代わりに、キャッシュレス決済 キャッシュレス決済の積極的な利用をお勧めすることとしました。

それ以外では、患者様に安心して来院して頂くために、「啓蒙活動」に力を入れました。具体的には、『感染を過度に怖れてステイホームしているよりも、体の具合が悪いのであれば、きっちりとお医者さんに行って診療を受け、その指示に従って生活をする方が感染予防に繋がる』ということをアピールさせて頂いたのです(これについて、最近では、色々な診療科目の医院さんが『免疫力アップ』を謳って、受診の必要性を説いておられます)。

【備えあれば憂いなしとは言うものの、程度の問題です】
今号では、Aクリニックさんの取り組みをご紹介させて頂きましたが、ご参考になりましたでしょうか。今回の「コロナ禍」における対応については情報が錯綜し、どのような対応が正解か分からなかった当初、過度に対応しようと奔走する医院さんと、深刻に受け止めず、ほとんど対策をしなかった医院さんに分かれましたが…、やはり、院長の言動でスタッフや患者様が安心されるのは間違いありません。まずは、院長が冷静に対応すること 院長が冷静に対応することが一番なのです。

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