
ホーム > クリニック経営情報 > 新規開業医の悲しい物語 > 第7話

「先生、次の休みにでも、とりあえず物件を見に行きませんか?」
いささか順序が逆のような気もするが、早い者勝ちという優良物件だから仕方ないのか。
言われるがまま、次の休みに連れて行ってもらった。
新築ビルだけあって、さすがにキレイだ。(これも当たり前だが)
立地も駅前で確かに人通りが多い。しかし、新しいマンションは、この物件の反対側に集中しているような気がする。
医療テナントは5件。しかし、「契約済」は1件のみ。ウチで2件目のようだ。
「あれっ?早い者勝ちだったんじゃぁ…?」
佐川氏はすかさず、
「先生、残りの3件も“商談中”なんですよ。だから、もうここに入りたいと言っても入れないんですよ。」
そうか。商談か…。ん?商談?何の話し合いをするのか?自分は何一つ相談されていないが。
一抹の不安があって聞いてみた。
「皆さん、決める事と言っても“入居するかしないか”ぐらいじゃないですか?他に何かあるんでしょうか?」
「そうですね、入居の時期はいつにするとか、家賃をどうするかとか…、それぐらいでしょうかね。」
えっ?、入居の時期は開業日の関係があるから分るが、家賃というのは?交渉出来るのか!
「ウチは大丈夫なのですか?」
「心配ありません。いや実は、私は、ここのオーナーと親しくてですね、先生だけ特別に坪15,000円のところ、12,000円に下げてもらう約束をしていますから大丈夫ですよ。」
そうか、やはり任せて安心だったのか。しかし、“先生だけ特別に”というのは嬉しい話だ。
自分の心配は「杞憂」だったのか。
広さが42坪と聞いているので毎月の家賃は、42坪×12,000円=504,000円
もし、15,000円なら、毎月63万円。これだけで、毎月126,000円、年間にして約151万の節約になる。
佐川氏に支払うコンサル料も、100万安くしてもらっているので、現段階で、約250万も安くなっている…。
能天気だった私は、「吉田先輩にお礼を言わなければ!」と、すっかり「得した気分」を満喫していた。