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新規開業医の悲しい物語

第49話いよいよ開業日:診療スタート!:後編

結局、午前中の患者数は「ゼロ」だった。

あんなに宣伝したのに…。
内覧会では、ご婦人方が「必ず来るから」と喜んで粗品を持って帰ったのに…。

午後の休診時間中には、引続き花屋さんや、色々な飛び込みセールスマン、薬屋さんなどが相次いで来院。

更に、佐川氏も来た。

「先生、初日はこんなもんですって!いい休養だと思ってリラックスして下さいよ!」

リラックス出来るか!他人事だと思って…。

それよりも何よりも、一番驚いた来客は、“親父”だった。

そして、たった一言だけ言い残して帰って行った。

「何て顔をしてるんだ!今のお前に診てもらいたい患者はいないだろう…。鏡を見て出直せ!」

確かに…。鏡に写る自分の顔を見て驚いた。追い詰められた受験生のような顔だ。

そう言えば、午前中の自分は、スタッフを叱り付けるわ、ドアが開くたびにそわそわして落ち着きがないわ、家内を追い返すわ、岡野さんとケンカするわ…。

もし、患者さんがこのまま永遠に来なければどうしよう…。借金は?生活は?とマイナス思考のみが支配していた。

午後診療からは、気持ちを入れ替えて“にこやか”になろう。
いいじゃないか、今日ぐらい患者さんが来なくても。明日があるさ!

スタッフには謝ろう。そして、もう一度頑張ろう!と言ってみよう。

そう思ってみんなが出勤して来るのを待っていたが、出勤時間の3時45分になっても誰も来ない。

「まさか…!」

案の定、全員がスタッフルームに「辞表」を置いていた。

もうすぐ午後診が始まるのにどうすればいいんだ!

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