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新規開業医の悲しい物語

第45話開業前日

開業届も無事に終了し、スタッフの採用も完了。そして、内覧会も実施した。
電子カルテの研修も行い、接遇研修も済ませた。

新聞折込広告も5紙に入れ、駅看板も階段を上がった目の前の大きなスペースを確保した。これで月々8万円。更に、電話帳の広告も半ページ分の大きなものにし、HPも70万円かけた。加えて、駅の反対側への対策として、電柱広告も手配した。ポスティングは、そこまでやらなくても患者さんは来るだろうという事で行わなかった。

これらは、全て自分で判断した。しかし、全て佐川氏の提案通りだ。

かつての自分は、よく分からないまま“お願いします”と言って丸投げしていたが、これらは、全て説明を聞いてから“お願いします!”と言っている。

何が違うのか?

それは、“納得度合”だ。結果責任を潔く負える。「自分で決めたことだから!」と。
今までのように、自分の不甲斐なさを棚に上げて、人のせいにしたりしない。

内装工事費用は手直しが何回か入り約150万アップし、医療器械のリース料も何だかんだと約15万円にまで膨らんでいた。御見積書から漏れていた追加の器械があったためだ。

もう、この時点で、トータルコストが幾らなのか全く分らなくなっていた(後々、目が点になるのだが…)。
しかし、これも自業自得だ。予定よりオーバーした金額については、授業料と思い、診療でカバーしよう。

内覧会は、粗品進呈と書いた効果なのか、約40名が訪れた。

「キレイな医院ね~、私は昔っから胃腸が弱くてね、必ず来るから診て下さいね。」
「主人がストレスで胃が痛いって言うのよ~。今度連れて来ますからね。」

などと、かわるがわる声を掛けて下さる。

この内覧会で妙な確信を持ってしまった。

「やはり、皆さんはこの医院に期待してるんだ。よ~し、頑張らないと!」

いよいよ明日は開院日だ。

「皆さん、明日から宜しくお願いします!」

今回採用した、看護師の岡野さん(仮名)、岩木さん(仮名)、それに受付の寺内さん(仮名)、加藤さん(仮名)の4名は、元気良く「宜しくお願いしま~す!」と帰って行った。

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