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新規開業医の悲しい物語

第 話結局「お金」がいるのか:前編

「開業手続についてですが、具体的には保健所に開業する旨の事前相談に行き、図面のチェックも行い、開設届を9月開業でしたら8月10日までに提出し、X線についても保健所が…、その後、社会保険事務局で…、」

いきなり、今回の開業手続の説明を始めた。

こちらとしては任せるつもりでいるのに、このような説明を何故するのか?
最初からヤル気がないので、全く頭に入らない。

元気な声で話は続く。

「開業後ですね、税務署に…、県税事務所に…、労災、生保、原爆等の届出が…、」

元気な声で、興味のないことを延々話されることほど、辛く、退屈なことはない。
自慢話を延々聞かされたり、知識をひけらかしたいがための話を延々聞かされるのと同じぐらいの辛さだ。

「…と、以上なのですが、先生、ご自分でされますか?」

「はぁ?」

「いや、もし、先生がされるのであればウチはやりませんし、どうされますか?」

「どうするも何も、お願いしようと思っていましたが…。」

「分かりました。それではウチで全てさせて頂きますが、佐川さんのご紹介ですので、本来15万かかるところを10万でさせて頂きましょう!」

何だそれ?結局、お金がいるのか。しかも、またまた恩着せがましいデイスカウント…。
安くするというだけで、誰でも喜ぶと思っているのか?

数ヶ月前の自分は喜んでいたなあ…、恥ずかしながら…。

こういう、数ヶ月前の自分のような人種がまだまだ多いから、こういうトークがいつまでも通用するんだろう。

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