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新規開業医の悲しい物語

第10話はじめての「資金計画」:中編

早速、家に帰って、家内に初めて相談した。

正確に言うと、「初めてまともに相談した」と言うべきか。開業を決意した当時は、家内も色々と心配をしていたようだったが、コンサルタントの佐川氏に任せている旨を伝え「心配ない!」と言って以来、何も聞いて来なくなっていた。
今から思えば、「お前は口を出すな!」というように感じていたのかも知れない。

「1,000万円ぐらい準備出来るよなあ…。」

「アナタ何を言ってるの?今あるお金は子供の学費なので手を付けずに置いておくんでしょ?アナタの貯金で何とかして下さい!」

余りの非協力的な態度に、思わず“むっ”とした。

しかし、これも後々スタッフを自分で雇うようになって初めて分かることだが、例え、妻と言えども自分に協力してもらうためには、いかにアナタが大切で重要なのかを理解してもらい、話をよく聞き、嬉々として参画するようにもっていかないといけない。要は、「頼りにしてるよ!」という、相手の自尊心を敬う態度が大切ということだ。

「俺のすることに口を出すな!」

と言っておきながら、

「協力しろ!」

と言われれば、誰だっていい気はしない。所詮、人間は理屈では動かない。パッションだ。

「ウチの従業員はヤル気がない」
「ウチの従業員は優秀でない」

と、嘆く経営者は多いが、その原因が自分自身であると気付いている経営者は非常に少ない。
私自身も、開業してスタッフの扱いに散々苦労をした挙句に分ったことだ。

さて、家内が一銭も出さないとなれば、次は親父だ。

「親父、開業資金の話だけど…。」

「お前、わしに何の相談も無く場所まで決めたそうだな!勝手にしろ!金は出さん!!」

小さな会社を経営している親父は、昔気質なので、非常に気前が良い一方、自分に何の相談もなしに決まった事や、納得のいかない事には、“ビタ一文”払わない人だった…。相談しなければと思いつつ、後回しにしていたのがマズかった…。

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